ナチュラルウッドMODを亜麻仁油で一年ほど育てた結果【オイルフィニッシュ】

今はスタビウッドやハイブリッド素材のMODが大人気ですね。

私ももちろん大好きですが、本来の素材を使ったものも好きです。

いわゆるナチュラルウッドと言われているもので、切り出した木をそのままMODの形にします。

そこで私が最初のナチュラルウッドMODとして選んだのがAnatolianのウォルナット。日本で言うクルミの木です。

木材としては、日本国内でも「ウォールナット」という名称で扱われる。北アメリカやカナダで産出されており、チークマホガニーと共に世界三大銘木の一つに数えられる。1660年から1720年にかけ、ヨーロッパ市場ではイギリスデザインやウォールナット種の製品が大きな人気を博し、ヨーロッパ家具の歴史では「ウォールナットの時代」と呼ばれるほど持て囃された。

木質は重硬で衝撃に強く、強度と粘りがあり、狂いが少なく加工性や着色性も良いという特性を持つ。落ち着いた色合いと重厚な木目から、高級家具材や工芸材に用いられてきた。アメリカ合衆国大統領の指揮台やアメリカ合衆国最高裁判所のベンチに使用されるほか、耐衝撃性の強さを生かしてライフル銃床にも使用される。また、チップは薫製づくりの際のスモークチップとしても用いられる。

*Wikipediaより引用

また、肌目は粗く、美しい光沢を放つことが大きな特徴だそう。

世界三大銘木に数えられることからも、ウォルナットがいかに素晴らしい木材なのかご理解いただけると思います。

そして私が期待するのはオイルフィニッシュと経年変化による表情の変化です。

オイルフィニッシュとは

乾性のオイルを主に木の導管に浸み込ませ、乾燥させて樹脂化させることによりウッド全体の強度が増し、木材の質感をより良くしてくれる仕上げです。

表面に塗膜を形成しないため(したとしてもオカモトのゴムよりも極薄)ウッド本来のしっとりとした手触りを維持することができるほか、その木目・ツヤ・香りを最も活かす仕上げと言われています。

オイルフィニッシュについては後ほどもうちょっと掘り下げます。

デメリットもある

いいことばかりではないようで、いくつかデメリットが挙げられます。

  • ある程度の強度はあがるが、ゴリゴリに強くなるわけではない
  • オイルによっては黄変する
  • 乾燥までに時間がかかる
  • たまにメンテナンスが必要
  • 水に弱い

この中で気になるのは黄変する点のみかなー?と思いました。それらデメリットよりもオイルフィニッシュの素晴らしい(と言われる)質感を試してみたいです。

ウレタン仕上げによるツルピカな光沢もよかったのですが、ツルピカなウッドMODはスタビをピアノコーティングしたもので満足する予定なので今回はナチュラルウッドを活かすオイルフィニッシュでDONE!!

ピアノコーティングスタビMODはまだ買ってないし予定もないけどね!!

作業するぜ!!

まずは購入したてのAnatolianがこちらです。

2015年6月頃です。

img_2938

なんだか土のような色ですね

img_2803

これが室内照明の下で撮影したもの。さきほどのものよりいい感じですね。というか見え方全然違うやん!!なんなん!!

で、これをまずペーパー掛け

img_8742

耐水ペーパーの#100~#1000までを用意しました。なお、#100と#120は粗すぎて使いませんでした。

やすり掛けをしていきます

そういえばこの何日か前に亜麻仁油を塗ったので色が濃くなっています。なぜか先走りました。カウパー・タカユウと呼んでください。

これが2015年10月くらいの画像

1477111465230

1477110467624

上の画像が#180でシコった結果。だんだん番手をあげていき#1000までシコったのが下の画像

粗い番手の場合はゴリゴリ削れちゃう恐れがあり、表面を少し均すようなイメージで短時間で終了させました。形が崩れてしまっては本末転倒ですしおすし

比べてみると亜麻仁油が浸透していた部分は削れたようですね。そのかわり光沢がでてきました。

削れた部分はまた亜麻仁油を塗ればいいだけの話ですから。やっぱり先に下地処理をしておくべきでした。

で、とりあえず削れてしまったので、あらためて亜麻仁油を塗っていきやすで。

さっきから亜麻仁油亜麻仁油うるせーな。まずそれが何か教えろよ。パージするぞコラ(*^ω^*)

乾性油・亜麻仁油とは

img_8767

img_8766

亜麻仁油は乾性の油で、空気中の酸素と結合し樹脂化することによって固まる性質を持っている油です。カッチンカッチンに固まるわけではないので、木材内部の水分量の変化による木の収縮(木の呼吸)によって割れることはないが、その反面耐久性としては堅牢とは言いがたいようであります。

逆に不乾性の油としては椿油とかオリーブ油が挙げられます。これらはウッドに塗っても乾かずに永久にベタつくことになるので髪の毛にでも塗っとけ。

また、乾燥後に黄変をするみたいです。さらに、塗ったあとの乾燥には最低でも24時間を要する模様。なかなか使い勝手が悪そうですね。それらを克服するために「煮亜麻仁油」というものがあるらしいですが、重金属酸化物の乾燥剤が入っているんですって。これには毒性があるとのことなので即却下。

木がクルミなら、亜麻仁油と同じ乾性油のクルミ油のほうがなんか相性いい気がしない?ほら、親子丼みたいに素晴らしい組み合わせなのじゃないかと素人タカユウは思いました。

しかし、どうやら「ウォールナット材は亜麻仁油で仕上げるのが至高」という(ネットの)先人たちの教えがあったので、今回はそれに従うことにしました。

塗り→磨きの作業

  1. 亜麻仁油を塗る(刷毛で塗るor油をしみ込ませたウェスで塗る)
  2. 20~30分置く
  3. 余分な油をウエスで拭き取る
  4. 乾燥させる(亜麻仁油の場合は24時間~)
  5. 何度か繰り返す

*油が浸み込んだウエスは自然発火の恐れがあるので、水浸しにしてから処分したほうがいいそうです。こちらで詳しく解説されています。

img_8773

塗りすぎました

ここまでしなくても、亜麻仁油を染みこませたウェスを木にこすりつけるイメージで大丈夫そうです。

そして磨きまくる。乾くのに24時間とか言われたけどとりあえずヒマがあったら乾いたウエスで磨く。あとは指でキュッキュとこすったりしてとにかく磨く。手の脂をこすりつけるイメージ。なんなら木刀を作る職人さんが「手の脂が一番いい」と言っていたというのをどこかで見かけました。この際手の脂が乾性か不乾性か半乾性なのか調べることもなくとにかくシコシコしました。

ワックスは一切使用していません。

さすがに毎日はしていませんし、ぶっちゃけ1ヶ月くらい放置してた時期もあります。つまり「やったりやらなかったりだけど、気がついたらやる」という感覚でした。そんな毎日シコシコできるほどヒマじゃないのです。

この作業を繰り返した結果をお見せします。

2016年10月(作業開始から約一年)

img_8393

img_8408

img_8381

粉粧玉琢とはまさにこのことでしょうかね

img_8405

ちょっとした鏡面じゃないですかぁー(小並感)

いやーしかしウッドを育てるって時間かかるンゴね。

ただ、もっと光沢を得るために目止めしておけばよかったかなーとは思ってます/(^o^)\

結論

オイルフィニッシュは時間がかかるし手間もかかるしで大変な部分もありますが、その苦労をするだけの価値は大いにあると感じます。スタビにはないロマンがナチュラルウッドには秘められています。

無駄に力説しましたが、1年かけてようやく見えた成果ですので許してくだちゃい

*私はこのような方法を採用しましたが、フィニッシュについては様々な方法(ミネラルオイルを使用する方法・磨きの工程をセーム革で行う方法・ワックスを使用する方法等)があり、オイル塗って磨いて光沢が出るかどうかは木の種類や仕上げ方によって大きく違ってきます。

ナチュラルウッドだからといって同じ方法でもすべてこのような結果になるとは限りません。

そして終始えらそうに話をしましたが、Google先生に教えてもらったことを自分なりに解釈して実践し、DCMさんや南さんとのWOOD談義で得た情報を散りばめたまでですので、必ずしも正解ということを保証するものではありません。という逃げ道を作りながら終わりにします。

真面目か!!

使用したものまとめ

ウェスは適当に。古Tシャツとかがいいかと。新しいものだと繊維がMODに残ってしまう可能性があるので。亜麻仁油も刷毛もホームセンターで売ってます。